「グランブルーの静寂~もうひとつの氷川丸~」日本の海運の歴史が見えてくる

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日本郵船歴史博物館の企画展 「グランブルーの静寂~もうひとつの氷川丸~」が始まりました。

2018年1月20日から4月22日までの企画展です。「もうひとつの」とは氷川丸の姉妹船「平安丸」のことです。

氷川丸は戦前・戦後の日本の海運の歴史の生き証人として山下公園前に係留されていますが、平安丸は日本から遠く離れた西太平洋チューク諸島(旧トラック諸島)の岩礁、水面下36メートルに静かに横たわったままです。

平安丸と同じ姿の氷川丸

企画展には姉妹船ながら対照的な姿の2隻の写真が数多く展示されています。
紺碧の海底で眠るように横たわる平安丸の画像には心打たれるものがありました。写真はダイバーが実際に潜って撮影したもので外観だけでなく船内の装備やインテリアの画像もあります。

サンゴや海藻に覆われても氷川丸と同じ構造だったことが写真の比較でわかります。

企画展が気になって訪れたのですが常設展にもとても勉強になる資料がありました。
日本郵船の歴史だけでなく創生期から現代までの海運の歴史を理解できる博物館でした。内部の展示物の撮影はできませんので、常設の展示を含めて歴史博物館の感想を簡単に記載しました。

まず博物館の場所はこちらです。馬車道駅から徒歩数分です。

海岸通3丁目の博物館の建物はコリント式の円柱の外観が有名です。

常設展示は幕末のペリー来航の頃から始まり、現代までの日本の海運の歴史がわかるようにエリアを回る順路が設けられています。

エリア内の各ブースには時代ごとイベントごとの展示になっていて資料以外にVTRで画像を見たり解説を聞くことができます。タッチパネルのモニターで興味のある画像やナレーションだけを聞けるシステムも。

三菱の創業者、岩崎弥太郎が明治政府とやりとりした海運に関する文書などもあって、それこそじっくり見ようと思ったら時間がいくらあっても足りません。

博物館自体は建物の1階部分なのですが、スペースの割には内容が濃いというのが印象です。
開港時の横浜の様子から昭和初期の客船の豪華なメニューや航海の途中のエンターテイメントも紹介されてます。艦船の大型模型の多さにもびっくりします。

最後のエリアにはタンカーや自動車運搬船といった現代の輸送船のモデル展示や丁寧な説明もあります。船に詳しくなくても楽しめる場所です。

館内の展示エリアでは撮影禁止です。展示エリア外で展示物をフレームにいれなければ内部の構造などは写すことができます。

博物館自体が昭和11年(1936年)に建てられたものなので内部のインテリアも昭和初期の趣があります。

建物入り口部分です。建物正面の入り口のドアも木製で内側の造作も木が使われています。天井を見ると梁の部分には細かい装飾がびっしり。

日本郵船博物館の入場料は一般が一人400円です。日本郵船氷川丸とのセット入場券が500円です。山下公園に係留されている氷川丸まで博物館から徒歩15分くらいでなので氷川丸とのセット券がお勧めです。

博物館・氷川丸の開館時間
開館  10:00~17:00 入館は16:30まで
休館日 月曜日
月曜が祝日の場合は開館、翌平日休館

イベント情報やシニア・子供料金・他の割引料金などはホームページをご覧ださい。
展示内容の変更や改修による休館スケジュールも記載されています。
日本郵船歴史博物館・日本郵船氷川丸HP

「グランブルーの静寂~」の主役の平安丸について補足します。

氷川丸は有名ですが平安丸は正直よく知りませんでした。具体的に知ることができたのはこの企画展です。

チューク環礁(旧トラック諸島)が舞台です。第一次世界大戦後に日本の委任統治領になり南洋庁が置かれました。委任統治前から南洋貿易は始まっていて日本人が多く住んでいた地域です。

太平洋戦争中はチューク環礁一帯は日本海軍の拠点として整備され、あの戦艦大和と戦艦武蔵が同時に停泊した場所でもあったんです。

平安丸は氷川丸と同じく太平洋を渡りシアトル航路の客船として活躍していた頃に、戦時徴用されて特設潜水母艦に改修されチュークで潜水艦支援の任務に就いていました。

太平洋戦争終結前年の昭和19年2月、広大な海軍拠点は米軍の空襲で平安丸を含めほとんどの艦艇・艦船が沈没しました。
米軍の地上部隊の上陸こそなかったものの、海軍基地としての機能は失われ、制空権もない南洋に孤立する諸島となったわけです。

今でも当時の面影を残してチューク環礁に沈んでいる日本の艦艇の数は想像を絶します。これだけの日本の艦船が沈められそのまま残っている環礁は世界でここだけではないでしょうか。

海底には艦船だけでなく輸送船が積んでいたであろう戦車や撃墜された戦闘機もありダイビングスポットになっています。

YouTubeで「チューク諸島ダイビング」や「Chuuk Ghost Fleet」で検索すると日本人ダイバーだけでなく世界中のダイバーたちによる動画がアップされています。

過去には遺品が持ち去られる問題が報じられ遺骨収集も行われました。(動画には収集の前か後か不明ですが、艦内に残された遺骨が映っているものもあります)

明治維新以降、約80年かかって世界第3位という海運国になった日本の海運。それがたった数年で壊滅してしまったのが太平洋戦争でした。
そして戦後の高度成長期に合わせて再び日本の海運が蘇ったわけです。

学校の歴史教科書ではどうしても戦前・戦後の歴史が表面的になりがちです。
日本郵船歴史博物館では明治維新から戦後に至る日本の歴史を海運という別の視点からじっくりと眺めることができます。

教わったことがない歴史に触れることができる素晴らしい博物館でした。

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