家族みんなでマイライフジャケット

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小型船舶のライフジャケット着用義務に関する法律が改正され平成30年2月1日から施行されました。これまで小型船舶船長に乗船者にライフジャケット着用を努力する義務を課していましたが、着用させる義務に改正されました。

船長には義務違反の罰則も設けられたことで乗船者のライフジャケット着用率は向上しそうです。
(小型船舶のライフジャケット着用義務拡大の詳細についてはこちらをどうぞ↓)

ライフジャケット着用義務拡大 平成30年2月1日から 

小型船舶乗船時のライフジャケット着用義務が2月1日から施行されました! 小型船舶操縦の免許を持っている人や船舶に詳しい人なら「小型船舶」と聞けばどのような船か想 ...

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ライフジャケットは小型船舶の乗船中だけでなく、堤防釣りやマリンスポーツ、浜辺や河原でのキャンプでも大活躍です。
今回は海や河川に遊びに行く一般の利用者目線でライフジャケットの有効性・必要性を紹介したいと思います。

まずは観光客にはあまり知られていない海難事故・海浜事故の現状を確認してみましょう。

海上保安庁の発表資料ではクルーザーやヨットなどのプレジャーボートの事故隻数は徐々に減少傾向です。
それでも年間で事故隻数が1000隻を超えた年もあります。

小型船舶のメーカーやマリンレジャー産業、クルーザー・ヨットのオーナーには注視されるデータですが、一般の人にとってはほとんど知られていないし新聞報道があっても読み飛ばしそうです。ちなみに漁船の事故隻数は年間600隻を超えているのが現状のようです。

海難事故の報道

クルーザー・ヨットや漁船の事故も発生件数自体は多いのですが、海難事故で記憶に残るのは、大型タンカーや貨物船、自衛隊や米軍の艦艇の事故といったインパクトのあるニュースです。TVでも繰り返し放映されます。

こういった海難事故はいわば海のプロたちが操縦する船舶の事故です。漁船の事故も海のプロである漁師の事故です。

海や河川に釣りに行ったり遊びに行く一般人にしてみれば、実はほとんど遭遇することがない海難事故とも言えます。(フェリーや客船の事故は乗客として遭遇する可能性はあります)

出典 海上保安庁 海難の現況と対策について(平成27年版)抜粋

一方、海や河川に遊びに行く一般の人が事故に遭遇するケースというのは、プレジャーボートやマリンスポーツや釣りです。
日常的に起きているプレジャーボートの事故やマリンレジャーの海浜事故の報道は扱いも小さくあまり記憶に残っていません。

乗船中の事故、海浜事故データ

海上保安庁の公式資料にはあらゆる海難事故のデータが記載されてます。データをよく読むと一般の人が身近な海のレジャーで数多く亡くなっているシビアな現実が見えてきます。

沈みゆく小舟
乗船者の海中転落の件数や海浜での事故のデータを見てみます。

船舶の衝突や火災といった事故が原因ではなく、乗船中に海中転落、岸壁からの転落、磯あそび、釣りでの事故者と死亡者・行方不明者のデータです。海に遊びに行く機会がある人なら知っておくべき事故の現状です。

下の1~4の表はすべて海上保安庁の公式資料の中の抜粋です。一部下線を引来ましたがそれ以外はそのまま貼り付けました。(出典 海上保安庁 海難の現況と対策について 平成28年版)すべて船舶事故(衝突や火災など)が除外された事故の数字です。

「1.総数」を見ると平成28年の乗船中の事故と海浜事故での合計人数は2,660名。(下線黄色)
そのうち死者・行方不明者が1,092名(下線赤色)です。繰り返しですが、船舶の衝突等による死者・行方不明者数は入っていません。

 

「2.船舶事故以外の乗船中の事故」にはプレジャーボートや漁船以外の数字も入っていていますので乗船中にケガをしたり病気になる人もカウントされています。海中転落は平成28年に156名(下線黄色)で、そのうち死者・行方不明者数は99名(下線赤色)です。

乗船中の船がなんであれ、海中転落の事故は死者・行方不明になる割合が6割前後もあります。
(海中転落しても自力救助で助かったり、同乗者にすぐ救助されてケガもなく報告されないケースもあるでしょうから事故数の実態はもっと多いのかもしれません)

「3.マリンレジャーに関する海浜事故」では遊泳中の事故の多さが目立ちます。次に釣り中の事故です。釣り中の事故は平成28年で289名(下線黄色)です。死者・行方不明者が103名(下線赤色)で事故者のうちの3割前後にもなります。

磯遊び中の事故者数は60名と少ないほうですが、そのうち5割前後の方が亡くなっています。

 

「4.マリンレジャー以外の海浜事故」では自殺者の数字まで掲載されてますが、自殺者を除外すると岸壁等からの海中転落の数が目立ちます。レジャーではないのでなんらかの業務上と思われますが、平成28年で事故者が316名(下線黄色)転落者の6割が死亡・行方不明で206名(下線赤色)となっています。

夏休みになると遊泳中の事故で子供や大人が亡くなるニュースが報道されるので、海難事故=遊泳中の事故と思いがちですが、実際には乗船中の転落事故、釣りでの事故、磯遊びでの事故、岸壁からの海中転落の合計のほうが遊泳中の事故より多いことがわかります。

データには現れないヒヤリハットの数字も含めると海浜での危険性はデータ以上に高いとも言えます。(以上のデータは海上保安庁の資料です。管轄外の湖や河川の事故については記事最後の「(補足)警察庁発表の水難事故」をご覧ください。

ライフジャケット着用と非着用の差

釣り雑誌などでも磯釣りや堤防釣りの事故を掲載してライフジャケット着用の注意喚起をしていますが、自分には関係がないと考えている釣り人も多いのが現実です。

同じく海上保安庁の資料から海浜でのライフジャケット関連のグラフを見てみましょう。
(出典 海上保安庁 海難の現況と対策について 平成28年版 一部抜粋)

海中転落が多いのは磯場、防波堤、岸壁です。いずれも90%を超える転落率です。ライフジャケット着用率(折れ線灰色)は磯場は62%と他に比べれば高いのですが、防波堤は19%岸壁に至ってはたった7%しかライフジャケットを着用していませんでした。

過去5年間の釣り中のライフジャケットの着用・未着用別の生存者・死者のグラフです。海中転落者のうちライフジャケット着用は23%でした。ライフジャケット着用で転落した230名のうち死者・行方不明者は36%ですが未着用の767名はそのうち48%以上が死者・行方不明です。

磯場でのライフジャケット着用率は62%でした。防波堤・完璧の着用率が極端に低いため亡くなった方の多数が防波堤・岸壁での海中転落と推測できます。

データは掲載しませんでしたが、資料には、釣りの事故で単独行動と複数行動の分類による生存率も掲載されています。単独行動の場合、複数行動と比較すると死亡率は2倍になっています。釣りの単独行動では死亡率が高いことに注目です。

どこにでも貸しライフジャケットがあるわけではない

湖や海の貸しボート、釣り船などの遊漁船では貸しライフジャケットが用意されています。釣りができる一部の堤防では着用義務として貸し出しているところもあります。誰でも簡単につけられて安全性も高いジャケットが使われていると思います。もちろん使い慣れたマイライフジャケットを着用することもできます。

海上保安庁の資料では釣り場や防波堤・岸壁での海中転落事故が多いことがわかりましたが、磯釣りの人は危険性を知っているのでライフジャケットの着用率も比較的高いのですが、防波堤・岸壁などでは危険性の意識も低く、貸しライフジャケットもないので本人が用意しない限り着用率は上がりません。

フリー素材 ぱくたそ

後掲する河川などもキャンプ場のような施設でないと貸しライフジャケットは期待できません。

家族でマイライフジャケットー水害でも

やはりマイライフジャケットがおすすめです。着慣れていると安心感があります。貸しジャケットだと体のサイズに合っていなかったり初めてのタイプでベルトの調整に手間取ったりします。子供だとなおさらです。

膨張式もタイプによって手動策が異なるので、落水してパニックになることもあり着慣れたマイジャケットのほうが確実に手動策を引っ張れます。ホイッスルもタイプによって勢いよく吹かないと音が出ません。小さな音は波音に消されてしまいます。

市販品にはデザインや目的にあった使い勝手のよいジャケットがたくさんあります。
子供には目的にあった適切なライフジャケットのなかから、子供自身に好きな色柄のものを選ばせて自分の大切な持ち物だと自覚出来れば、自ら進んで着用するし大切に扱うでしょう。子供のうちにライフジャケットを着用する習慣や使い方を覚えさせるのが一番です。

もうひとつ見逃しがちなのが水害時の利用です。ライフジャケットは水のレジャーだけでなく、集中豪雨や河川の氾濫で予期せぬ床上浸水に見舞われたり冠水で地域ごと孤立してしまう時にも有効です。そのような災害は毎年発生しています。

被災した家族が健常者ばかりとは限りません。足の悪い高齢者なら階段を上ったり、ましてや屋上への避難は困難です。

小型船舶用で国交省認定のライフジャケットには安価で丈夫なものが数多く市販されています。よく目立つオレンジ色のチョッキ式ジャケットは着用も簡単です。メンテナンスも楽なので家庭に常備する災害対策用品と一緒に保管しておくのも手です。

海や川のレジャー用に目的別の使い勝手の良いライフジャケットもたくさん出ています。例えば釣りに行く機会が多いなら釣り具メーカーの製品も見逃せません。磯や堤防だけでなく、小型船舶で着用できる国交省認定の製品もあります。

(法律上小型船舶で義務付けられたライフジャケットは国交省の安全基準に適合するものだけです。こちらをどうぞ

レジャー用ライフジャケットの種類と基準

小型船舶で義務付けられたライフジャケットは国交省の基準に合格した「桜マーク」付きの製品のみです。それに対して磯釣りや堤防釣り、湖での手漕ぎボート、シュノーケリングなどのレジャー用のライフジャケットには法的規制はありません。そこで「桜マーク」のようにレジャー用でも認定マークが出来ました。

JCI日本小型船舶検査機構が行う性能鑑定です。検査合格品は「CSマーク」がついています。
平成28年から始まった制度ですのでこれからCSマーク付きの製品が増えると思います。
市販のライフジャケットには他国の基準に沿った製品も多いのですが、ちょっと心配な製品もあります。

ライフジャケットを着て落水した経験がある人はほとんどいませんし、ジャケットの外観だけでは良し悪しはわかりません。
販売店で直接専門家に相談できれば良いのですが、インターネット購入なら画像だけです。初めて購入するならCSマークを安全基準として考慮したほうが良さそうです。CSマークはこちらをご覧ください。 JCI CSマーク

JCIのCSマークには5種類の規格があります。
浮力によって大人用でL1~L3の三種類、子供用でLC1~LC2の2種類で合計5種類です。

各種ライフジャケット(小型船舶用およびレジャー用)

画像と実勢価格がわかるようにAmazonから抜粋しました。おおよそタイプ・目的別にまとめています。製品・ブランドによって認可基準も異なりますので購入に際してはかならず製品の仕様を確認してください。(表示価格にはメーカー発表の定価ではなく初回購入限定価格などのプロモーション割引の価格も含まれています。)

固形式:チョッキ型

オーシャンライフ
レジャーだけでなく津波水害対策にもなるオールマイティなType A 小型船舶用ライフジャケット。国交省認定なのに低価格。自宅にも自家用車にも積んでおきたい1着。国交省認定の桜マークライフジャケットはホイッスルが付いてます。

小型船舶用救命胴衣 オーシャンC-2型オレンジ 新基準 船舶検査対応 国交省認定品 津波水害対策

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オーシャンライフ
国庫省認定のライフジャケット。浮力材にポリプロピレン使用。TYPE F(平水区域、2時間限定沿海区域および
沿岸区域の航行区域の小型船舶や水上オートバイの法定備品として可。諸条件あり)ですので様々な色合い。

ocean life(オーシャンライフ) 国土交通省型式承認ライフジャケット 小型船舶用救命胴衣 PWC用 I型 ブラック I型 ブラック

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高階救命器具
こちらも国交省認定(桜マーク)で定番のオレンジ色。各種救命具を製造する老舗の高階。安価でも信頼できるメーカー。

高階救命器具 小型船舶用救命胴衣 TK-30RS

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高階救命器具
国交省認定の自動膨張式ライフジャケット。サスペンダータイプ。フリーサイズでカラーはブラック、ブルー、レッドの3色。17,000円弱で購入できる信頼の高階。

高階救命器具 自動膨張式ライフジャケット サスペンダータイプ BSJ-2520RS

釣具メーカーのライフジャケット

ダイワ(Daiwa)
釣り具のダイワの製品。アマゾン価格は2万円程度。桜マークの自動膨張式でウエストに巻くサイズフリー。年齢・体型に問われないので誰にでも着用できる優れモノ。

ダイワ(Daiwa) ライフジャケット ウォッシャブル ウエストタイプ手動・自動膨脹式 DF-2207

ダイワ(Daiwa)
釣り具のダイワの製品。救命胴衣ながらルアーなどの釣りを追求したフロートベスト。アマゾン価格は1万円ちょっと。機動性が高く大小のポケットに加えてロッドホルダーもある。

ダイワ(Daiwa) フローティングベスト ライトフロートゲームベスト レッド フリー DF-6406

シマノ(SHIMANO)
釣り具のシマノの製品。国交省認定なので着用義務のある釣り船等の小型船舶でも着用OK。
約17,000円~23,000円。最新画像ではライム、シルバーは無く、ブラック・レッド・ブルーの3色。

シマノ ラフトエアジャケット (膨張式救命具) VF-051K


その他のブランド・メーカー
ブルーストーム(高階救命器具)
船・磯・防波堤という釣り用のデザイン。国交省認定(TYPE F)で条件付きながら小型船舶でも利用可能。
価格は8000円弱なので購入しやすい。ネイビー、ブラック、レッドの3色。

フィッシング用ライフジャケット BSJ-190RS2 カレント 高階救命器具 BLUESTORM 国土交通省型式承認品 小型船舶用救命胴衣 国交省認定品 タイプF 検定品 桜マーク付

EYSON
男女兼用の手動膨張式で肩掛け式のライフジャケット。日本の検査基準ではなくCE認定製品。小型船舶では着用できませんが、外装の色数も柄も豊富でファッション性もあるジャケット。価格6千円弱。

EYSON釣り用 手動膨張 男女兼用 インフレータブルライフジャケット 肩掛けタイプ 救命胴衣

シュノーケリング用ベスト

ReefTourer (リーフツアラー)
救命胴衣ではなくシュノーケリング用ベスト大人用。内部はEPEフォーム(発泡ポリエチレン)価格は3千円~6千円

ReefTourer(リーフツアラー) スノーケリングベスト大人用

ReefTourer (リーフツアラー)
こちらは子供用シュノーケリング用ベスト。内部はEPEフォーム。価格は3千円~5千円。
子供用は青、ピンク、イエローがありよく目立つ。

リーフツアラー(ReefTourer) 子供用 シュノーケリングベスト SV-1500

Rrtizan
救命胴衣ではなくシュノーケリング用ベスト。使用時は空気を入れて使うので空気を抜けばコンパクトに収納できて携帯に便利。安価なのでライフジャケットにプラスして購入もおすすめ。

Rrtizan 折りたたみ式スノーケリングベスト フローティング用シュノーケリング用インフレータブル キャンバス 膨張式救命胴衣大人向け男女兼用


(補足)警察庁発表の水難事故

警察庁の公式発表資料に水難事故の統計があります。
(警察管轄の事故ですので、海上の事故を含む海上保安庁の統計データとは異なります)

下の表は平成24年から28年までの水難事故の5年間の推移です。
死者・行方不明者の毎年の合計約800名前後で推移していて場所は「海」(下線黄色)が約半数です。
単に「海」の方が多いからと言って「海」の方が危険だとは言えません。
下の表はあくまで発生件数の比較です。
実際に「海」・「河川」別にそこに出かけた人の実数は把握できないためです。

ところが子供(中学生以下)に限定すると話が変わってきます。H28年度は「海」が極端に少ないですが、海・湖沼地・用水路・プールに比べて「河川」の数字が跳ね上がります。

保護者や監視員がいる浜辺・湖・プールと比べれば、大人の監視の目が届かない場所や急流で救助できなかったケースも多いはずですが、河川での死亡者・行方不明者の数が目立ちます。

「平成28年における水難の概況」(警察庁)表6を引用出典 警察庁 平成28年における水難の概況

警察庁の資料によっても海での水難による死者・行方不明者の数は全体として以前よりも減少傾向にあります。(65歳以上に限定すると水難死者・行方不明者は減少していません)

子供の場合、TV・新聞の報道で目にする海水浴場での水の事故以上に河川での事故が多いという事実は、親であれば特に注意すべきことです。

日頃、子供たちだけで川遊びに行くときにライフジャケットを着ることは少なそうです。
学校の帰り道ならなおさらです。
親が着用しろと言わなくても子供たちが好んで着たくなるようなカッコいい(可愛いい)ライフジャケットがあれば子供の着用率も上がるのではないかと期待しています。

以上、「家族みんなでマイライフジャケット」でした。

 

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